桜貝の気まぐれ日記

還暦過ぎての初ブログ開設

宙組全日程中止

長年2番手羽を背負い、花組宙組を安定した技術で支え、やっとトップに上り詰めた芹香さんの大劇場お披露目公演。

万雷の拍手を持ってファンから迎えられ祝われた感動の初日の翌日、1人の組子の自死を持って以後公演がストップしたまま、遂に東宝も全公演中止が発表された。

遺族の訴え、マスコミの報道、SNSでの様々な意見があるとはいえ、全日程を中止するとは思っていなかった。

退団者のことも考えたら最後の1週間は公演するのではないかと思っていた。

気持ちの落ち着いてきた生徒もいるだろうが、週刊誌で顔写真や実名まで挙げられた上級生やどう考えても宙組の中に週刊誌にリークするような生徒や家族がいる中で疑心暗鬼になり心をひとつにして公演するのは難しいのだろう。

公演をしたくない生徒さんが退団を希望した場合、退団者の人数によっては公演を維持出来ないのかもしれない。

観る側にしてもそんなやる気のない生徒がいる公演など観たくない。

過重労働については劇団も反省して今後改革して行く方針を発表したし、これを期に是非とも生徒やOGやスタッフの意見を取り入れ前向きに様々な改革に着手して頂きたい。

後は暴言を吐いた生徒の謝罪?

遺族に謝罪するのでしょうか?

それとも墓前に?

亡くなった生徒さんが家族に語っていた事が全て真実とは限らないのに何を謝罪すれば良いのだろう。

2年前にヘアアイロンで火傷をさせてしまったことをだろうか?

厳しく指導したことをだろうか?

亡くなった生徒さんが追い詰められた状況にあったことに気付かず、思いやれなかったことを申し訳なかったと言うのならわかる。

でも、それは宙組生全員、スタッフ全員に言えることなのではないだろうか?

さらに厳しいことを言えばご家族でさえ自死することを予想出来なかったことへの責任があるのではないか?

さらに、ご遺族はご自分の亡くなった家族の顔写真がネット上に晒され続けていることをどう考えているのだろうか?

客商売をされてるということだが、宙組憎しのあまり娘さんたちが愛して来た宝塚歌劇を支える大勢のファンのことは見えていないのだろうか?

この2ヶ月半、宙組のことが頭をよぎらない日はなかった。私のような末端のファンでさえ頭の中に暗い霧がかかったような気持ちになるのに熱心なファンの方々の絶望感は計り知れない。

この夏、SNSで知った末期癌の女性が最期に弱った身体でミュージカルを観劇し、感激した様子を綴ってらした。その方は秋を待たずに亡くなられたが、どなたにとってもこれが最期の観劇になるかもしれない。

舞台も一期一会なのだと思う。演者にとっても観客にとっても。

過重労働は宙組だけではないし、2時間半の舞台を1ヶ月と少しで作り上げるにはどの組も厳しいお稽古がある。外の舞台でも同じことだ。

ただ、外部は少なくともオーディションで選ばれたキャストによっていると思うが、宝塚の生徒の実力は様々、でも実力不足の下級生などを置いて行くことはしない。できるまでお稽古するのだ。それをパワハラや虐めと捉えられたら指導は出来ないし信頼関係が失われる。

かつて、気に入らないと稽古場で灰皿を投げる蜷川幸雄さんという演出家がいたが、今では考えられないだろう。

でも、芸事の追求に時間外労働を言い始める人は向いていないので今すぐ違う道に進むべきだ。

どんな仕事を選んでも理不尽なことは沢山あると思うけどね。

芹香さんを始めとする舞台に立つ事を望む宙組の生徒さんが心身を健やかに、ご自分が磨いて来た芸事を信じて前向きに新年を迎えられますよう、心から祈っています。