桜貝の気まぐれ日記

還暦過ぎての初ブログ開設

新生宙組 エクスカリバー

猛暑過ぎる2023年池袋の真夏

熱波に挑むように熱中症対策をしながらブリリアホールに向かう。

2015年初夏、「カリスタの海に抱かれて」で100周年から観劇を始めた私が初めて芹香斗亜というタカラジェンヌを見つけて以来、密かに応援して来たが、とうとう宙組トップに登り詰めた姿を観るだめだ。

本当に長い道のりだった。真風さんも稀有な男役だったがコロナ禍で少し任期が伸びたのかなと思っている。芹香さん自身ご自分にもの凄く飛び抜けた才能があるわけでは無いから時間が掛かったのではと自己分析されてた。高身長、美形、歌唱力、程よいダンス力、盾もこなしアドリブもバッチリ、少しだけ滑舌が気になる時はあるが全てが高いレベルなのに、ご自分に足りないものを追求して努力を続け出来た。自分で努力したと言い切れるのは並の努力では無いだろう。

トップになるにはタイミングが左右する。もの凄いオーラを放ち輝く当時の男役明日海りおの隣に立つには同レベルの個性が求められる。劇団は柚香光氏を選択したためその後の花組の惨状に繋がってしまった。柚香光氏は間違いなく真ん中が似合うトップだと思うが気の毒に思うほど歌唱力が伸びず、ダンスも脱力系、芝居は繊細だけど舞台向きの演技では無いため好みが分かれる。また、真風トップ就任時に2番手として支える実力ある人材が宙組内に居なかった。真風トップ下、芹香さんのは水を得た魚のように個性を放ち始める。相性が良いとはこのことだ。真風さんも力強い相棒を得て、充実した任期を過ごすことができた。

そして、今の宙組の状態といったら最高であのまま花組に残ったら相手役も2番手も…と考えたら、待った甲斐があったというものだ。

 

そして、プレお披露目「エクスカリバー」だ。

アーサー役ははっきり言って美味しい役では無いと思う。出来ればハッピーなブロードウェイミュージカルでお披露目して欲しかった。

相手役の春乃さんにもお似合いだと思う。

最近の劇団は話題性を重んじてるし、キャストに歌唱力が必要なので宙組にという選択になったのだろう。

もちろん脚本は宝塚を意識して書かれたものでは無いので一応アーサーが主役なのかもしれないが、マーリンとモーガンの比重が半分を占めてしまう。

モーガンの真白君は初めてと言っても良い抜擢で頑張っていた。歌唱力もあり今回大注目されたが、やはり芝居力がまだ足りてないように思う。目立ちすぎないように調整されてるから物足りなく感じるのかもしれない。

マーリンの若翔君も同様、お二人の場面になると上手いけどまた歌うの?という気持ちはなってしまった。歌い上げる場面が多すぎて疲れるのだ。これは脚本の問題で芝居の比重を増やすべきだと思う。

エクスカリバーというタイトルでアーサー王がタイトルでは無いのでお披露目に相応しい場面は剣を抜くところと戴冠式、結婚式、剣を掲げる場面と割と少なく、何故かファザコンで闇落ちするし、もっとアーサーが周りから信頼される場面が欲しかった。

グィネヴィアも女戦士という設定なら恋人設定のままで敢えて王妃にしなくても良かったのでは?

芹香さんも楽曲が多いのでお客様がまた歌かと思って飽きないように工夫しないと冷静に分析されてたのが流石だ。演じる人たちの感は正しい。

これは劇団の座付き作家の実力不足が問題なのかとおもう。

とにかく、観てる方も疲れるのだから演者は如何に思うが芹香さんは2幕から闇落ちアーサーが「王であることとは」で煩悩を捨て去り全てをまとめて来た。主要キャストの心情を察し過ぎて疲れ果てた観客に癒しオーラを淡々と解き放つ。

そして、ラストは黄金に光輝く中でエクスカリバーを捧げ持つ。

宙組トップスターの降臨だった。

 

桜木氏のことを失念してしまい申し訳ありません。もの凄く歌唱表現力が上がって2番手として芹香さんを頼もしく支えてくださること間違いなし、芹香さんの次は間違いなく桜木さんです。